2008年 09月 29日
ニヒルでいてどこか春風のようでいて、ユーモアに満ちたヒーロー、そしてブルー・アイ あの暴力的ではあっても、あのかすかな笑顔がどこかユーモアになじんだ味のあるのが、 心から愉しんでいる感じが魅力・・・ポール・ニューマン。 デビューの頃の「傷だらけの栄光」「ハスラー」「左きゝの拳銃」では、どこか当然のことながら ニヒルな青年のイメージしかなく、この頃は、同じアクターズ・スタジオのマーロン・ブランドの そっくりさんって感じで、ジェームズ・ディーンの風情もブランド的。 この同期の3人の登場によって、知的で翳りがあって都会的、神経的な苦痛を自我に持つ ヒーローとして活躍した、ヘンリー・フォンダとかグレゴリー・ペックなんかからの世代交代が おこなわれたヒーローたち 中でも「ハスラー」はモノクロ画面の煙草の紫煙がたちのぼるビリヤード場の雰囲気とともに、 ポール・ニューマンの敗北してゆく姿を描くアンチヒーローの初期の代表作です 「栄光への脱出」「暴行」(あの羅生門のリメイク)「太陽の中の脱出」の頃は、ベトナム戦争時代 の屈折した良心を反映していた、苦悩するアンチヒーロー。 そして「脱走大作戦」「引き裂かれたカーテン」のおとぼけヒーロー。 そして、そして、「暴力脱獄」「動く標的」「明日に向かって撃て!」「ロイ・ビーン」のやさしさと、 したたかさにガッツがあふれるヒーローの大傑作たちたち・・・ マイベスト3は、泥酔してパーキングメーターを壊したことから刑務所に入り、ひとのいやがる 労務をつとめ、ゆで卵50個喰いのバカげたゲームにうつつをぬかし、半殺しの目にあいながら も脱獄をくりかえし、最後にはニヤッと笑って死んでいく、あのクール・ハンド・ルークの「暴力脱獄」 が一番ですかねぇー そして60年代の傑作探偵ものとして「動く標的」。 ロス・マクドナルドの原作で「ポイントブランク」と並ぶ60年代のハードボイルドの代表作。(この映画以降、私立探偵は影を潜め、刑事たちが表舞台へと移行) そして3本目は、アメリカン・ニューシネマのヒーローとして「明日に向かって撃て!」! このブッチとサンダンスの生き方に心を揺さぶられた人が多かったのではないでしょうか 追っ手に必用に追われながらも二人は生き方を崩さずに、常に夢を追い続けるあの姿 有名なストップモーショションのラストシーン、それにバート・バカラックの音楽がいつまでも 心に残るのでした。 合掌。
by masoon3go
| 2008-09-29 23:15
| MOVIE
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